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テルモのニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするためのものです。医療機器や医療用医薬品の情報が含まれることがありますが、これらは報道関係者の皆様、株主・投資家の皆様を対象にした情報であり、製品広告を目的とするものではありません。
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肺炎や急性心筋梗塞などにより危篤の状態にある患者さんに対して、呼吸・循環をサポートするために用いられる体外循環装置「ECMO」(Extracorporeal membrane oxygenation/体外式膜型人工肺)。この装置は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者さんにも使用されています。世界でCOVID-19の感染が拡大し始めた2020年3月6日、テルモのECMOが中国湖北省武漢市の病院に、支援物資として引き渡されました。
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テルモ武漢支店の営業担当者が直接病院へ搬送
その1カ月前の2月上旬、COVID-19感染者が急増した中国では、国家が制定したガイドラインで、重症者の救命治療としてECMOの使用が推奨されました。しかし、中国には国産のECMOシステムがなく、そのすべてを輸入品に依存しています。感染拡大により湖北省で重症者が増えたことに伴い、国を挙げて世界各地からECMOを調達し、死亡率を抑えていく指示が出されました。
これに応えて、テルモはいち早く武漢市の医療機関へのECMO寄贈を決めました。テルモ医療産品上海有限会社(テルモ上海)のアソシエイトは中国の関係行政機関に必要な手続きなどを確認し、日本にある東アジアの事業本部へ報告。日本の関連3工場の協力を得て、血液の体外循環をコントロールする装置(ハードウェア)と患者さんの血管につなぐチューブ・人工肺などのディスポーザブルキット調達の目途が立ちました。
しかし、テルモのECMOは中国での臨床使用が承認されていません。寄贈に伴い、中国の当局から要求されたさまざまな書類を提出する必要がありました。今度は、薬事申請や品質保証関連の部署と緊密に連携し、わずか1週間で必要な書類の収集・作成を成し遂げ、緊急輸入ができるようになりました。
さらに、輸送の過程でも中国に合わせた調整が必要でしたが、サプライチェーンを担う部署の迅速な対応で、スムーズに中国向けの船に載せることができました。
こうして2月27日、支援物資一式は東京を離れ、3月2日に上海港へ到着しました。テルモ上海が準備を周到にしたことで通常10日かかる通関手続きは3日に短縮でき、3月5日には倉庫に搬入。ついに翌日、寄贈先の病院にテルモのECMOが届けられました。多様な関係者のコラボレーションの結果、最短で武漢の病院に届けられたECMOは、医療現場で重症の患者さんに使用されています。
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テルモの支援物資であるECMO一式
中国に出荷された支援物資の箱には、「相知無遠近、万里尚為隣(万里離れても、友情の力で隣人となりえる)」という言葉が印刷されました。唐時代の詩人、張九齢の詩にある言葉です。人類共通の脅威であるCOVID-19に対して、日中のアソシエイトが協力して実現したこの支援活動の背景には、テルモグループの企業理念「医療を通じて社会に貢献する」への共通した思いがあります。
武漢オフィス 営業担当アソシエイトの声
2020年1月、COVID-19の影響で交通が遮断され、にぎやかだった街の様子が激変。私は一生忘れることのできない春節を過ごすことになりました。しかし、中国内のみならず、日本をはじめとする海外の多くの友人たちが、難局を乗り越えられるように武漢に手を差し伸べてくれました。このつながりを通じて、「街や道路が閉鎖されても、愛を閉じ込めることはできない」ということを強く感じました。私たちの仕事の仕方は、COVID-19の発生前後で大きく変わりました。しかし、私たちはこれまでと変わらぬ熱意を持って、いつでもお客様のために、タイムリーで、質の良いサービスを提供していきます。これまでテルモで身に付けた能力を発揮し、周囲からの信頼に応え、皆が一丸となって努力し、私たちの住むこの場所が活気あふれる街になるまで頑張り抜きます。
ECMO(エクモ)とは
ECMOとは、Extracorporeal membrane oxygenation(体外式膜型人工肺)の略称で、心肺補助目的に使用する場合、日本・韓国などのアジアでは、経皮的心肺補助システム「PCPS」(Percutaneous cardiopulmonary support)と呼ばれています。
太ももの血管に挿入され、心臓の手前の大静脈に先端が位置するカテーテルを通じて、血液を体外へ引き出し、遠心ポンプと膜型人工肺を用いた閉鎖式回路で循環させ、再び患者さんの体内に戻します。この過程を経ることで、患者さんの弱った心臓と肺の代わりの役割を果たします。
多くは、静脈から血液を引き出し、動脈に戻す循環をすることで、心停止した患者さんの心肺機能を補うなどの救急医療で用いられます。一方、新型インフルエンザやCOVID-19などによる重症呼吸不全に対しては、静脈から血液を引き出し、体外循環後に静脈へ戻すことで、肺の機能のみを代替する目的で使用されます。
なお、ECMOと混同されることが多い言葉として、人工心肺装置と人工呼吸器があります。一般的に、人工心肺装置とは心臓を止めて行う心臓外科手術の際に、心臓と肺の機能を代替する大型の装置を指し、人工呼吸器とは、酸素マスクや気管内に挿管したチューブを通じて酸素と空気を肺に送り込む装置のことを言います。.
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模式図は、救急医療で使用される場合の循環方法