
食事・栄養の
基本の「き」
血圧
浅山 敬 先生
帝京大学 医学部 医学科 衛生学公衆衛生学講座 教授
最近の研究で、病院で測る「診察室血圧」よりも、家庭で測る「家庭血圧」のほうが、脳卒中や心筋梗塞の発症とより密接に関連していることがわかってきました。家庭血圧には、普段通りの生活のなかで高血圧が続いているのか、夜間や休日の血圧はどう変動しているかなど、数ヶ月に一回の診察室の検査では知り得ないことが反映されています。そのため、日本の高血圧治療ガイドラインでは、高血圧の判定の時には診察室血圧よりも家庭血圧を優先すると定めています。家庭血圧の5〜7日間の平均値をとり、収縮期血圧/拡張期血圧のどちらか一方、あるいは両方が135/85mmHg以上だった場合は「高血圧」と判定されます。このように家庭血圧は、高血圧の判定にも直接用いられる、とても重要な健康情報です。
家庭血圧は朝と夜の1日2回、座って測定します。血圧値はその平均をとり、測った血圧値はすべて血圧手帳などに記録しておきましょう。また、仕事やストレスが多いときも血圧を測り血圧値を確認するとよいでしょう。血圧を測るときは、椅子に座って1、2分安静にしてから測るようにしましょう。
血圧を測るときの条件
家庭で血圧を測る際は、上腕式血圧計がお勧めです。手首にカフを巻くタイプは測定値が不正確になりやすいので、取り扱いの注意事項を良く理解して使ってください。家庭用の血圧計は高血圧の診断と治療に用いられる医療機器です。血圧計のタイプにかかわらず、正しく計測するためには必ず個々の製品に付いている取り扱い説明書の記載を守りましょう。
家庭用の血圧計には以下のようなものがあります。
上腕式血圧計(カフ式)
上腕にカフを巻くタイプの血圧計です。日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン・解説冊子」でも家庭血圧測定用の血圧計として推奨されています。
上腕式血圧計(腕挿入式)
上腕を通すだけで簡単に血圧を計測できるタイプです。正しい測定姿勢を取るためには置く場所をしっかり整えて、測定する姿勢にも注意する必要がありますが、測りやすく、左右どちらの腕でも測定できます。
手首式血圧計
腕に巻くカフと血圧の表示画面が一体型になったタイプです。手首での測定は上腕よりも精度が下がるので、おおよその血圧値を把握したい方や、日中の活動時や外出先、旅行先で手軽に血圧値を知りたい方にお勧めです。