血圧

2. 高血圧にも種類があるの?

血圧
監修

浅山 敬 先生
帝京大学 医学部 医学科 衛生学公衆衛生学講座 教授

白衣高血圧

家庭で血圧を測るといつも正常な血圧値なのに、医療機関では緊張して血圧があがり、140/90mmHgを越えることがあります。お医者さんの「白衣」を目の前にすると血圧が上がることから「白衣高血圧」(白衣効果)と呼ばれます。白衣を着た人が目の前にいなくても、病院や職場での健診会場のような、普段と異なる環境での測定で血圧が上がる状態も白衣高血圧に含まれます。
家庭で測定した血圧値がほぼ常に正常であれば、診察時に「白衣高血圧」があっても健康リスクは低いのですが、白衣高血圧の方は将来、家庭血圧も上昇するリスクが高いため、血圧を注意深く見守る必要があります。

仮面高血圧

白衣高血圧とは反対に、診察時は正常血圧なのに、家庭や普段の生活で血圧が高い人がいます。そうした場所で血圧をきちんと測れば良いのですが、お医者さんが診察するときは一見問題ないように見えて、家庭血圧や自由行動下血圧を測らないとわからないため、「仮面高血圧」と呼ばれています。
「仮面高血圧」の場合、診察時間をのぞくほぼ全ての時間帯で血圧が高い可能性があり、放置してしまうと脳卒中や心臓病を起こしかねません。家庭できちんと血圧値を測り、積極的な治療が必要なタイプの高血圧です。

早朝高血圧

診察室血圧が140/90mmHg未満でも、早朝に測定した家庭血圧の平均値が135/85mmHg以上の場合は、仮面高血圧の中でも「早朝高血圧」と呼ばれます。早朝高血圧には、夜から持続して血圧が高いタイプと、朝がたに急激に血圧が上昇するサージタイプがあります。早朝高血圧は、脳卒中、心臓病、腎臓病などと関係が深く、積極的な治療が必要です。

夜間高血圧

自由行動下血圧測定や、夜間の家庭血圧測定で夜間・就寝中の血圧値の平均が120/70mmHg以上の場合を「夜間高血圧」といいます。睡眠中も血圧が高い状態が続くため血管や心臓の負担が大きく、より強く脳卒中や心臓病の発症リスクと関係しています。

昼間高血圧(ストレス下高血圧)

家庭血圧が正常でも、就業中などのストレスがかかる昼間の血圧値の平均が135/85mmHg以上の場合を指します。ただし、大事な会議の前など一過性に血圧があがるのは珍しくないので、血圧の上昇をいくども繰り返すことが条件です。職場でのみ血圧があがる「職場高血圧」は肥満や高血圧の家族歴がある人に多いという特徴があります。

血圧日内変動異常

血圧には決まった1日の変動リズムがあり、正常であれば夜間血圧は昼間の血圧値よりも10〜20%低下します(ディッパー)。これに対し夜間の低下幅が少なすぎるノン・ディッパー、逆に夜間に血圧が上昇するライザーを「日内変動異常」と呼びます。ノン・ディッパーやライザーでは脳卒中や心臓病、腎臓病のリスクが高く、特に夜勤シフトで働く人は、ノン・ディッパーの日内変動異常があることが多いことが知られています。

情報公開日:2022年6月1日

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