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シリコンバレー発 オープンイノベーション 地の利を生かした開発への取り組み

テルモは、次世代の医療ニーズにいち早く応えるため、製品によって最適な地域に研究開発拠点を設置しています。2018年には、世界中から技術とエンジニアが集う、米国カリフォルニア州のシリコンバレーに、新たな研究開発拠点であるテルモ・ベイエリア・イノベーションラボ(Terumo Bay Area Innovation Lab. /TBAIL)を設立しました。

TBAILは、2017年1月からテルモグループの一員となったカリラメディカル社(Kalila Medical, Inc./KMI)と、湘南センターのコーポレートR&D(参考リンク)の出向者が所属していたシリコンバレーラボ(Silicon Valley Lab./SVL)という、ともにベイエリアに拠点を構える2つの組織が統合される形で設立されました。主にテルモの3つのカンパニーの一つである心臓血管カンパニーの製品開発を担い、研究開発、パイロット生産、ブリッジ生産(大規模生産をする前の、つなぎとしての小規模生産)を中核業務に約50名のアソシエイトが勤務しています。

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Terumo Bay Area Innovation Lab. /TBAIL

シリコンバレーという地域は、Googleや Apple、Netflixといった先端IT企業や、Teslaなどの著名な企業が本社を置き、医療機器分野においても新しい技術を持つスタートアップが数多く存在し、ミネソタやボストンに並ぶ産業クラスターが形成されています。また、スタートアップの事業化や、その事業を加速化するための仕組み(エコシステム)も充実しています。即戦力となるエンジニアの雇用、製品開発に伴う財務・薬事・製造などのノウハウを持つ協業先といった選択肢も非常に多く、自社で保有している技術やノウハウにこだわらない開発が出来ることが大きな魅力です。

テルモグループの研究開発戦略においては、2013年にはシリコンバレーのベンチャーファンドに出資、2014年には病院内に立地する開発子会社テルモメディカルイノベーション社を設立し、新規技術・アイデアの探索や、製品の初期開発をしてきました。それに続き、TBAILが立ち上げられる際に考案されたコンセプトは、「誰でも使えるテルモのR&Dキャンパス」でした。日本と比較して、シリコンバレーには現在のテルモが保有していない技術を共同開発する企業や、Contract Manufacturerと呼ばれる生産設備を保有して生産を担う企業、米国の医療現場とのコラボレーションや薬事申請を得意とするコンサル企業などが数多く存在します。その地の利を生かしてグループ全体の研究開発をよりイノベーティブかつスピーディに推進することが期待されます。

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日米の開発ノウハウを最大限に活かす
技術のコラボレーションを加速

これまでにTBAILで進められてきた開発テーマは、心臓血管や下肢血管疾患のカテーテル治療に用いられるデバイスを中心としており、カテーテルアブレーションと呼ばれる不整脈の治療を行う際に使用するスティーラブルシースは米国や日本などで既に販売を開始しています。

テーマによって、KMIが開発・生産を行ってきたもの、日本のコーポレートR&Dから赴任したメンバーが進めてきたこと、また、現地スタートアップとの共同開発、アカデミアとの共同開発などさまざまな背景があります。しかし、各担当のエンジニアの所属にこだわらず、お互いの技術や、製品化を実現するためのノウハウを持ち寄って、プロジェクトが推進されています。これは、シリコンバレーならではの土地柄もさることながら、その一方でテルモには、現在に至るまで、積極的なM&Aによって、多国籍の企業が相次いでテルモグループに加わった歴史があります。この過程で、比較的柔軟に技術と人の融合が行われてきたことも理由に挙げられます。

テルモの研究開発は、技術の探索だけではなく、イノベーションを生むカルチャーと、それを支える人財を大切にしています。近年では、世界中のテルモグループの技術者が研究の成果をシェアしあうGlobal Technology Fair(GTF)といったイベントも実施されており、地域や事業を越えた技術のコラボレーション強化を目指しています。

今後、TBAILでは、テルモグループ内での技術連携や、心臓血管カンパニー以外のテーマなどに積極的に取り組みながらも、バイオテクノロジーやデジタルヘルスといった、未来の医療に欠かせない新分野の強化も見据え、社外のリソースを活用した研究開発の経験・ノウハウの蓄積に挑みます。

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