カテーテル治療に更なる「やさしさ」を
TRIの普及と発展を見つめて
心臓や下肢の血管の病気を、カテーテルという細い管を用いて治療する「血管内カテーテル治療」は、患者さんの身体的負担が少ない治療として、現在では広く行われるものになっています。その一方で、カテーテル治療は、現在進行形で改良改善が行われている領域でもあります。患者さんにとって、より「やさしい治療」を実現するために、治療手技の進歩とともに、医療機器の技術も発展し続けています。
血管内カテーテル治療は、シースという細い管を皮膚を通して血管に刺して、血管にカテーテルを挿入するための入り口を作ることから始まります。以前は太腿の付け根の血管(大腿動脈)からの挿入が主流でしたが、最近では手首の血管(橈骨動脈:とうこつどうみゃく)から行う経橈骨動脈インターベンション(Transradial Intervention : TRI)が広く普及しています。
この方法は大腿部からの手技と異なり、止血の時間が短く、合併症のリスクが少なく、治療直後から歩くことができる場合もあり、患者さんにやさしい治療です。また、患者さんのQOL向上だけではなく、早期回復による日帰り治療も可能で、医療費の削減と治療効果の両立ができることでも注目されています。
TRIは、世界的に著名なオランダの医師フェルディナンド・キムニー医師によって1992年に初めて実施されました。手首の血管は細く、習熟した手技が求められることから、キムニー医師が中心となり10年以上にわたる各地での手技の進化と教育が行われ、その手技は世界に広がっています。
活動の根底にあったのは「患者さんへの想い」でした。「TRIの恩恵を受けるのは患者さんだと確信していた」、とキムニー医師は語っています。テルモは医療機器メーカーとしてユニークな技術開発を通じ、患者さんにやさしい治療を医師と一緒になって普及に努めています。
TRI開始当時、手技を行うフェルディナンド・キムニー医師
TRIの普及当初にテルモが行っていたキャンペーン”TRY the TRI”のロゴ