医療関係の皆様向け情報

足のむくみとセルフケア

監修 広田内科クリニック 院長 廣田彰男先生

むくみの原因と、むくみの予防や解消するためのセルフケアや、日常生活で工夫できることについて解説します。
なお、わからないことがありましたらご自身では判断せずに医師にご相談ください。

はじめに

足のむくみは高齢者がよく訴える症状の一つです。むくみによって足が動きにくくなったり、転びやすくなることがあります。むくみは必ずしも病気ではありませんが、背後に重大な病気が隠れていることがありますので、もし「病気かもしれない」と思ったり、むくみがずっと続くようであれば早めに医師の診察を受けることが大切です。

足のむくみの原因

むくみとは、血液中の水分が血管外にしみ出して、皮下組織に水分が過剰にたまった状態を言います。このようなむくみの主な原因は静脈のうっ滞です。心臓から送られてきた血液は本来ならば静脈を通って再び心臓に戻ります。しかし血液を心臓に戻す力が不足して、足に溜まった静脈血を心臓にスムーズに戻せなくなるとむくみとなります。
また静脈血は周辺の筋肉の助けを借りて心臓方向に押し上げられます。これを「筋ポンプ作用」と呼んでいます。このため長時間座ったまま、あるいは立ったまま筋肉を動かさないとむくみやすくなります。

むくみの予防と対策

むくみを予防する

むくみの予防はむくみやすい生活をまず改善することです。簡単にできるむくみの予防・解消法を積極的に毎日の生活に取り入れることで、むくみを翌日に持ち越さないようにリセットしましょう。

改変:平井正文、廣田彰男、中村正人、鈴木加奈子(2010)
むくみ体質をあきらめない―医師が教える改善の知恵 株式会社メディカルトリビューン

十分な休息

睡眠時に横になると、日中足に溜まった余分な水分が移動します。横になっていることで体をめぐる血液量が増大しますので、むくみの解消のためにも十分な休息は重要です。

運動をする

足を動かすとふくらはぎの筋肉が収縮し筋ポンプが働き、足の静脈を収縮させて血液を心臓方向へ押し上げます。運動といっても軽い歩行や、歩行が難しい場合は足首を動かすだけでよく、つま先の上げ下ろしをするだけでも効果があります。

弾性ストッキング

弾性ストッキングを着用することで足を圧迫し、むくみを予防することができます。弾性ストッキングにはいろいろな圧力や形がありますが、むくみの予防のためにはひざ下までのハイソックスタイプで十分です。日中車いすで長時間過ごすことでむくみが発症する場合には、むくみの少ない朝のうちにあらかじめ着用しておくことで、むくみの発症の予防になります。

高齢者でも簡単にできるむくみ解消ケア

1 椅子に座って足首運動

まず足の裏をしっかり床につけて座ります。(これだけでも効果があります)
そして、つま先をあげ、次にかかとをあげます。
これを交互に繰り返します。力強く行うとより効果的です。

2 足の挙上

布団などを利用して、足を床から約10cm上げた位置で10分間横になります。

3 空中自転車こぎ運動

横になって足を上げて、自転車をこぐ要領で10回程度足をぐるぐる回します。

4 ふくらはぎマッサージ

足首からひざにかけてふくらはぎの筋肉をしっかりともみ上げるマッサージは、足の静脈血の流れを促進させるのでむくみの予防になります。

  • 多尿・夜間多尿の行動療法には、飲水に関する指導、塩分制限、食事(Diet)、運動療法、禁煙、弾性ストッキングの使用、夕方の足の挙上などが、エビデンスは十分ではないが、非侵襲で第一選択とすべき治療であるとされています。運動や足の挙上など、むくみの対策が夜間多尿対策にも用いられています。(夜間頻尿診療ガイドライン[第2版])

最後に

歳をとっても年齢が直接の原因でむくむことはありませんが、老化に伴って肌のハリが失われたり、筋力が衰えたり、心臓や腎臓の機能が低下したりすることでむくみやすくなると考えられます。
ご紹介したむくみ解消のケアは、ご高齢の方でも無理なく取り組める内容です。できる範囲で日常生活に取り入れれば、少しずつでも改善されますのでぜひ試してみてください。

多尿・夜間多尿の行動療法には、飲水に関する指導、塩分制限、食事(Diet)、運動療法、禁煙、弾性ストッキングの使用、夕方の足の挙上などが、エビデンスは十分ではないが、非侵襲で第一選択とすべき治療であるとされています。運動や足の挙上など、むくみの対策が夜間多尿対策にも用いられています。(夜間頻尿診療ガイドライン[第2版])

参考文献:

  • 日本排尿機能学会、日本泌尿器科学会編集(2020)
    夜間頻尿診療ガイドライン[第2版] リッチヒルメディカル株式会社
  • 岩井武尚 監修、孟真/佐久田斉 編集(2020)
    新 弾性ストッキング・コンダクター〔第2版増補版〕 株式会社へるす出版
  • 平井正文、廣田彰男、中村正人、鈴木加奈子(2010)
    むくみ体質をあきらめない―医師が教える改善の知恵 株式会社メディカルトリビューン

*イラストはイメージ図です。

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