弾性ストッキングについて
監修 横浜南共済病院 心臓血管外科 孟真先生
医療用弾性ストッキングについてご紹介します。なお、わからないことがありましたらご自身では判断せずに専門の医師・看護師にご相談ください。
はじめに
弾性ストッキングは、多くの種類があり、きちんと治療効果を上げるためには、その形、サイズ、圧迫の強さ、伸縮性を考慮し、選択することが大切です。
弾力性のあるストッキングには、非医療機器のサポートタイプストッキング(いわゆる着圧ソックス)と、医療機器である医療用弾性ストッキングがあります。
本ページでは、下肢用の医療用弾性ストッキングについて解説します。
弾性ストッキングとは
下肢の静脈血、リンパ液のうっ滞を軽減または予防する等、静脈還流の促進を目的に使用される医療用の弾性着衣です。
弾性ストッキングの圧迫の強さは、足首がもっとも強く、ふとももに行くほど弱くなります。
圧迫の強さの比がだいたい足首:ふくらはぎ:ふともも = 10:7:4 で作られています。
これは、静脈血やリンパ液を心臓方向へ流れやすくする工夫です。
圧迫の強さの選択
圧迫療法において、圧迫の強さの選択は非常に大切です。
疾患、症状に応じて表に示すような基準で圧迫の強さを選択します。
弾性ストッキングの使用にあたっての注意点
使用してはいけない場合
- 重度の動脈血行障害がある方
圧迫により症状を悪化させる危険性があります
- 感染性の静脈炎がある方
(血の塊に菌がついている状態、医師の診断が必要です)
症状を悪化させるおそれがあります
- 装着部位に極度の変形がある方
適切な圧迫の強さが得られません
慎重な使用が必要な場合
- 糖尿病を罹患されている方
痛みなど、着用時の異常を認識できないおそれがあるため
- 繊維に対してアレルギーがある方
皮膚炎を起こすおそれがあるため
- 上記以外にも、深部静脈血栓症の方、装着部位に神経障害がある方などは医師の指示に従ってください
弾性ストッキング着用時に、しびれ・痛み・かゆみといった症状が出た場合は、医師や看護師に相談しましょう。
弾性ストッキングの種類
弾性ストッキングには種々のタイプがあり、それぞれの長所と短所を知ったうえで、病態と患者さんの好みなどを考慮して選択します。
つま先なしタイプについて
フットスリップとは
サイズの選び方
弾性ストッキングの選び方
下肢静脈瘤など多くの慢性の静脈疾患
患者さんが好めば始めからハイソックスタイプの代わりにストッキングタイプやパンティストッキングタイプを用いてもかまいません。
肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)の予防
リンパ浮腫
ほとんどの症例でふとももまで圧迫が必要なため、
ストッキングタイプ、パンティストッキングタイプのほか、ベルト付き片脚ストッキング、片脚パンティストッキングタイプも使用されます。
健常者、非脈管疾患によるむくみ
弾性ストッキングの履き方
- 弾性ストッキングは、たぐって生地をまとめないようにしましょう。履きにくくなります。
- 必ず座って履いてください。立ちながら履くと、転倒する恐れがあります。
- つま先なしタイプは、着用を補助するフットスリップが使えます。
弾性ストッキングの脱ぎ方
着用中のチェックポイント
弾性ストッキングのお手入れ方法
洗濯表示
ご注意:洗濯を他のものと同時にする場合には、色落ちのおそれがあるためご注意ください。
各製品ごとにお手入れ方法が異なる場合がございますので、各製品の取扱説明書等をご確認ください。
参考文献:
- 岩井武尚 監修、孟真/佐久田斉 編集(2020)新 弾性ストッキング・コンダクター〔第2版増補版〕静脈疾患・リンパ浮腫における圧迫療法の基礎と臨床応用株式会社へるす出版
- 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に関するガイドライン(2017年改訂版)