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安全で安心な輸血のために、独自の白血球除去法を確立。

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Hlavinkaは、すでに40年以上アメリカで成分採血の現場を支えている技術者だ。しかし彼は、常に新たな発想で改良・改善に努める。今まで米国内で取得した特許は49件、米国外の特許は優に100を超えている。そのなかでも、1990年代に開発した血小板の採血時における白血球除去法は、とくに抜きんでた成果といえる。

Dennis Hlavinka
フェロー
テルモBCT 社

白血球が原因で起こる輸血の副作用

白血球は通常血液中に含まれる細胞の一種であるが、血小板輸血を行う場合、白血球は一種の汚染物質として扱われることになる。輸血は移植の一種という考え方があるが、とくに免疫をつかさどる白血球は、輸血を受ける患者さんを攻撃して、発熱、肺障害、さまざまな免疫反応や感染症などの有害事象を起こすことが多いのだ。がんや血液の病気の患者さんは抵抗力が低いため、混入した白血球の影響を受けやすい。そのため輸血用の血液からは、白血球を徹底的に除去する必要がある。

採血と同時に白血球を除去する

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白血球を除去する容器

血液の必要な成分だけを採血するには、成分採血が行われる。1本の針でドナーから採血された血液は、抗凝固剤と混ぜられ、遠心分離器に運ばれる。遠心力を掛けることによって、血液は血漿、血小板、赤血球へと比重の違いごとに分離される。このとき血小板は、わずかに比重の大きい白血球と混合された形で分離しているので、その層だけを容器へ集め、さらに遠心力を掛けることで、明確で純度の高い血小板の層を作り、血小板だけを採取バッグへ集める。残りの血液成分は採血に使った針を通してドナーへ返される。

米国輸血・細胞治療学会から表彰される

このとき大切な役割を果たす容器を使った白血球除去システムこそ、Hlavinkaが考案し、多くの血液センターで採用されることで、血小板の採取方法にイノベーションを起こしたのだ。この発明に対し、2015年に米国血液バンク協会(American Association of Blood Banks: AABB)は、表彰の筆頭に位置づけられるDale A. Smith Memorial Awardを授与した。その理由として、彼の先駆的な開発は、通常の成分採血システムの中に組み込まれたサブシステムとして使うことができること。そのテクノロジーは、血小板の採取に革命をもたらしたことを取り上げている。