静脈瘤・むくみ

5.下肢静脈瘤の治療方法

静脈瘤・むくみ

下肢静脈瘤が命に関わることは極めて稀ですが、脚の重だるさや痛み、また見た目などから生活の質を損なってしまいます。あまり悪化しないうちに専門医の診療を受けてください。治療法には以下のようなものがあります。

圧迫療法

弾性ストッキングや弾性包帯(だんせいほうたい)で脚を圧迫し、静脈のうっ血や逆流を防ぎながら血流を促す基本の治療方法です。弾性ストッキングは足首を最大圧として、脚のつけ根に向かって徐々に圧力を弱めていく構造になっており、脚のだるさや、重さ、痛みを軽減し、皮ふの炎症を軽くする効果が期待できます。
ストッキングをはいている間しか効果が期待できないこと、圧迫感などが欠点ですが、妊娠中や重い持病がある患者さんの場合は、圧迫療法のみで治療を行います。

圧迫療法 弾性ストッキングは、足首を最大圧に、
付け根に向かって徐々に弱く圧迫するようにできています。

硬化療法

静脈瘤のなかに硬化剤(こうかざい)という薬を注射して静脈内に人工的に炎症を起こした後、弾性ストッキングなどで圧迫して静脈の癒着(ゆちゃく:くっつけてつぶすこと)、硬化をうながし静脈瘤を消失させる方法です。硬化した静脈は一時期、しこりのように硬くなりますが数ヶ月~半年ほどで消えていきます。副作用は痛みなどです。また、血栓症を起こしやすい素因(体質)がある人は硬化療法を受けることはできません。どの治療法が最も適切か、かかりつけ医とよく相談してください。

手術療法(ストリッピング術/高位結索術)

ストリッピング手術は脚の皮ふを小さく切開し、瘤化した静脈を抜き取る手術です。悪い部分を切り取ってしまうので、再発率が低く、重症の動脈瘤でもよい治療成績が期待できます。最近は傷口をより小さくしたり、全身麻酔と局所麻酔を組み合わせて身体の負担を軽くする工夫が行われています。

高位結索術(こういけっさくじゅつ)は静脈を縛り、逆流を防ぐ方法です。局所麻酔でできるので、ストリッピング術よりも身体の負担は少ないのですが、静脈瘤が残った場合は硬化療法と組み合わせる必要があること、再発率が高いことが欠点です。

手術療法(ストリッピング術/高位結索術)

血管内焼灼術

血管内にカテーテルを通し、レーザーやラジオ波で血管の内側から静脈を焼いてつぶす治療法です。つぶれて血液が流れなくなった静脈は、数ヶ月かけて身体に体組織に吸収されます。手術に比べて傷が小さいほか、麻酔が軽くすむ利点があります。一方、適応が限られていること、まだまだ新しい治療法なので長い間の再発率はわからない面があります。

いずれにしても、下肢静脈瘤の治療については必ず血管外科や心臓血管外科、あるいは皮膚科や形成外科の専門医に相談することが肝心です。

情報公開日:2022年3月31日

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