テルモ、米国アオルティカ社を買収 大動脈疾患の「個別化医療」への貢献を目指す

2019年11月20日

 テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:佐藤 慎次郎)は、このたび、医療技術スタートアップの米国アオルティカ社(ワシントン州)*1の買収を決定いたしました。今後、同社製品の開発を進め、米欧日などでの販売を目指します。2019年中の買収手続き完了を見込んでおり、買収資金は手元資金を予定しています。なお、本買収に伴う2019年度のテルモの業績、財務状態に与える影響は軽微です。

 アオルティカ社は、通常の腹部大動脈ステントグラフト内挿術*2では治療が困難な複雑症例に使われるカスタムメイドのステントグラフトを自動的に設計する「症例計画ソフトウェア」と、大動脈から分岐した細い血管に留置する「カバードステント」と呼ばれる製品を開発しています。
 ステントグラフトは、大動脈瘤の治療を目的として使用される医療機器で、カテーテルにより脚の血管から病変部位に運ばれ、血管内に留置され、大動脈瘤への血流を遮断します。特に腹部の大動脈瘤を治療する場合は、大動脈から枝分かれする腎動脈などがあるため、通常のステントグラフト内挿術を行うには注意が必要です。また腎動脈部付近まで大動脈瘤が及んでいる場合は、通常のステントグラフトでは治療が困難なことが課題です。
 アオルティカ社の独自技術により、ステントグラフトに分岐用血管の穴を開けることで、分岐血管への血流を遮断しない「開窓型ステントグラフト内挿術」*3を従来よりも容易に行うことができるようになります。同社の症例計画ソフトウェアは、CTの画像から患者さんの血管走行を読み取り、適切な穴の位置を判断します。このソフトウェアの設計に基づき、その患者さん専用のステントグラフトを製造し、さらに、分岐血管に留置する同社のカバードステントを組み合わせることで、従来はステントグラフト治療が困難だった症例の大動脈瘤治療をサポートします。
 ワシントン大学血管外科医のベンジャミン・スターンズ氏が実施した米国における医師主導臨床試験では、この症例計画ソフトウェアを用いた最初の30例全てにおいて、ステントグラフトの埋め込みに成功しました。30例中16例に、テルモの腹部大動脈ステントグラフト「TREO」が使用され、スターンズ氏は、「デリバリー性能や、穴を開けやすいデザインなどから、TREOはこのソフトウェアに最も適合するステントグラフトだ」とコメントしています。

 テルモは、英国子会社バスクテック社と米国子会社ボルトン・メディカル社が担う心臓血管カンパニー血管事業において、Terumo Aorticという事業ブランドを展開しています。同事業は人工血管、ステントグラフト、オープンステントグラフトという大動脈を治療する製品群を幅広く持っており、このたびの買収により、大動脈疾患における、患者さん一人ひとりに適した「個別化医療」への貢献を目指します。

※これらの映像はアオルティカ社の製品概要を説明するためのイメージで、臨床での使用とは異なる可能性があります。

  • テルモの腹部用ステントグラフト

  • 開窓型ステントグラフト(イメージ図)

  • *1
  • Aortica Corporation

  • *2

    大動脈瘤の治療法としては、外科的に胸部や腹部を切り開き、瘤を取り除き、代わりに人工血管を縫い付ける手術(人工血管置換術)と、カテーテルにより脚の血管から病変部位にステントグラフトを運び、大動脈瘤への血流を遮断する手術(ステントグラフト内挿術)があり、患者さんの状態によって選択されます。なお、ステントグラフトとは、人工血管(グラフト)に金網(ステント)を縫い合わせたものです。

  • *3

    腎動脈などへ分岐する場所に穴(窓)を開けたステントグラフトを大動脈に留置する治療法。Fenestrated Endovascular Aortic Repair(FEVAR)と呼ばれています。

テルモの開示資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、当社としてその実現を約束する趣旨のものではありません。様々な要因により、実際の業績等が変動する可能性があることをご承知おきください。実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、テルモの事業領域を取り巻く経済情勢、為替レートの変動、競争状況などがあります。

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