News release
テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:佐藤 慎次郎)は、薬剤溶出冠動脈ステント「Ultimaster」(以下、アルチマスター)*1がフランス高等保険機構(Haute Autorité de Santé、以下、HAS)*2から、出血性合併症リスクの高い患者さんにおいて二剤抗血小板療法(以下、DAPT)を1ヵ月で安全に終了できると認められたことをお知らせします。
今回のHASの認定は、2021年の欧州心臓病学会にて結果が発表された臨床試験「MASTER DAPT」で得られた臨床データに基づいています。アルチマスターは、フランスで初めてHASから認定を受けた1カ月DAPTが有効な薬剤溶出冠動脈ステントとなります。
MASTER DAPT (MAnagement of high bleeding risk patients post bioresorbable polymer coated STEnt implantation with an abbReviated versus prolonged DAPT regimen)試験は、欧州、日本、アジア、オーストラリア、南米地域の30か国、140施設が参加した大規模臨床試験であり、DAPTを1か月に短縮することによる臨床的有用性が示唆されました。
この試験では、アルチマスターを留置した出血性合併症リスクの高い患者さんを、1か月(30日)が経過した時点で2剤処方している抗血小板薬を単剤処方に切り替えDAPTを短縮した群と、さらに最低2か月以上DAPTを継続する群に無作為で割り振り、両群の安全性と有効性を比較しています。結果はいずれも良好で、有害事象*3の発生率では、DAPTを短縮した群は継続した群と比べて劣っていませんでした。また、出血関連の事象発生率においては、DAPT短縮群で優位性が示されました。この結果は、アルチマスターを留置した出血性合併症リスクの高い患者さんにおいて、DAPTの短縮は予後の改善につながることを示唆しています。
本試験の結果は、2021年の欧州心臓病学会での発表と同時に、New England Journal of Medicine誌*4、およびCirculation誌*5にも公表されています。
今回の認定について、Jean-Philippe Collet医師(Interventional Cardiologist and Director of the Interventional Catheterization Laboratory at the Institut de Cardiologie of the Hôpital de la Pitié-Salpêtrière Sorbonne Université, Paris)は、「MASTER DAPTは、DAPT短縮の安全性と有効性を検証した唯一の無作為化試験であり、出血リスクの高い患者さんに関する貴重なエビデンスとなっています。実臨床では、DAPT期間は、患者さん毎に慎重にリスク分析をした上で、より良い予後を目指して方針を決めていきます。このたびアルチマスターのエビデンスが認められ、治療方針の選択肢が広がったことを非常に喜ばしく思います」と述べています。
アルチマスターシリーズは、欧州、アジア、日本で販売しており、これまで世界で150万本以上の使用成績があります。今回のフランスでの認定は、アルチマスターシリーズの重要なマイルストーンとなります。テルモはこれからも、医療従事者に最適な治療の選択肢を提供し、患者さんのQOL向上に貢献してまいります。
原文はhttps://www.terumo-europe.com/en-emea/news/ultimaster-drug-eluting-stent-family-first-stent-to-receive-the-mention-1-month-dapt-in-the-reimbursement-conditions-in-frをご覧ください。
テルモ概要
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国産体温計の製造に始まり、設立以来、医療の基盤を支え続けてきました。現在は、カテーテル治療、心臓外科手術、薬剤投与、糖尿病管理、腹膜透析、輸血や細胞治療などに関する幅広い製品・サービスを提供しています。
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