
News release
テルモのニュースリリースは、当社企業活動をステークホルダーの皆様にお伝えするためのものです。医療機器や医薬品の情報が含まれることがありますが、これらは報道関係者、株主・投資家等の皆様を対象にした情報であり、顧客誘引や医学的アドバイスを目的とするものではありません。
分娩後出血における医療環境の改善とその経済効果に関する分析を発表
テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:佐藤 慎次郎)の米国子会社のTerumo BCT, Inc. (以下、テルモBCT、所在地:米国コロラド州)が実施した研究結果が、7月29日に学術論文誌である「Africa Sanguine」に掲載されたことをお知らせします。テルモBCTはこれまで、アフリカで適切、安全、かつ持続可能な血液供給の重要性を提唱する活動を官民連携で進めてきました。本研究もその取り組みの一つで、輸血医療に関わっている臨床医や医療経済学の専門家と共に研究を行いました。このたびの研究は、サブサハラアフリカ地域*1の医療環境と経済効果について分析した大規模研究としては初めてのものです。
世界保健機関によると、世界中で毎日810人(年間295,000人)の女性が、妊娠と出産に関連する合併症で死亡しています。これらの死亡数のうち、94%は医療環境が整っていない環境で発生し、サブサハラアフリカ地域がその約3分の2を占めています。特に、サブサハラアフリカ地域の妊産婦死亡の44%が分娩後の出血過多が原因です。分娩後出血は、輸血など適切な治療を行うことで予防可能な合併症である一方で、サブサハラアフリカ地域では、血液製剤の需要は供給を上回る状況です*2。
今回の研究では、ケニア、ガーナ、コートジボワールの分娩後出血を対象に、輸血用血液製剤不足を改善することで得られる経済的効果を分析しています。安定的な血液供給を行うための既存の取り組みに加え、安全な血液供給へのさらなる投資拡大の必要性を示しています。投資の成果として、2年以内に3か国とも大幅な社会的・経済的コスト削減をもたらすことを結論付けています*3。
【妊産婦の出血を適切に管理するための投資コストと、重度の分娩後出血に関連するコストの比較検証】
安定的な血液供給が懸念される理由は多くあり、整備された血液供給システムの欠如、献血プログラムの少なさ、特に農村地域での医療アクセスの制限などがあります。これらの背景から、テルモBCTは、このような研究を通じ、安全で持続的な輸血環境の整備に努めてまいります。
*1 サハラ砂漠より南のアフリカ諸国が含まれる地域
*2 World Health Organization. Maternal mortality fact sheet. Published 19 September 2019. Accessed 22 July 2021. (https://www.who.int/en/news-room/fact-sheets/detail/maternal-mortality)
*3 Owusu-Ofori S. et al. Health economic value of blood in Kenya, Ghana and Ivory Coast: the case of maternal bleeding. Africa Sanguine. 2021;23(1)1-13. (https://www.ajol.info/index.php/asan/article/view/210878)
テルモBCTは、テルモの血液・細胞テクノロジーカンパニー(Terumo Blood and Cell Technologies)の事業会社として、血液と細胞を採取、分離、処理する製品およびサービスをグローバルに展開しています。www.terumobct.com
テルモBCTは、次の4つの戦略に基づき、アフリカで適切、安全、かつ持続可能な血液供給を提唱することに取り組んでいます。
テルモは、「医療を通じて社会に貢献する」という理念を掲げ、100年の歴史を持つ医療機器メーカーです。日本に本社を構え、世界160以上の国と地域で事業を展開、30,000人以上のアソシエイト(社員)が革新的なソリューションを届けるために日々働いています。
国産体温計の製造に始まり、設立以来、医療の基盤を支え続けてきました。現在は、カテーテル治療、心臓外科手術、薬剤投与、糖尿病管理、腹膜透析、輸血や細胞治療などに関する幅広い製品・サービスを提供しています。
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