
News release
テルモのニュースリリースは、当社企業活動をステークホルダーの皆様にお伝えするためのものです。医療機器や医薬品の情報が含まれることがありますが、これらは報道関係者、株主・投資家等の皆様を対象にした情報であり、顧客誘引や医学的アドバイスを目的とするものではありません。
日本初の治療法の普及を目指す
テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:佐藤 慎次郎)は、脳動脈瘤治療に用いる袋状の塞栓デバイス「Woven EndoBridgeデバイス」(海外販売名「WEB」)が、12月1日に保険収載されたことを受け、日本で同製品を発売いたします*1。脳動脈瘤を治療する製品で袋状の医療機器は日本にはなく、従来の方法では治療が難しい症例に主に使われます。
脳動脈瘤とは、血圧や遺伝的要因などにより弾力を失った脳血管の一部が伸び、瘤(コブ)となった病態を指します。血流に押されることによって瘤が膨らみ、場合によっては破裂しくも膜下出血を引き起こします。
脳動脈瘤の治療には、大きく分けて、開頭クリッピング手術と血管内治療の2種類があります。開頭手術では、瘤の入り口部分を外側からクリップで挟み血流を遮断します。血管内治療では、X線透視下で脚の付け根などの血管からカテーテルを挿入し、塞栓コイルや血流改変ステントと呼ばれる医療機器を患部に留置することで血液の流入を抑えます。
「Woven EndoBridgeデバイス」は血管内治療で使用され、従来の開頭手術では治療が難しく、かつ、瘤が分岐部*2にあり、入り口が広いワイドネック型の症例が適応範囲です。このような症例の血管内治療では、塞栓コイルを瘤内に留めるため複数の製品を併用しなければならないなどの課題がありました。
このたび発売する製品は、形状記憶合金が細かい網目の袋状になっていて、瘤から抜けづらく、単体での治療が可能です。また、カテーテルを挿入してから抜去するまでの手技時間平均は20.9分*3であり、従来よりも簡便かつ短時間の治療が可能になることが期待されます。欧州では2010年に、米国では2019年に発売され、現在世界で延べ1万例以上の使用実績があります。
テルモは、塞栓コイル、血流改変ステント、アシストステント*4、このたびの袋状塞栓デバイスといった脳動脈瘤治療の製品を販売する日本で唯一の企業として、安全で有効な治療の普及に努め、患者さんのより良い未来の実現を目指します。
Woven EndoBridgeデバイス
Woven EndoBridgeデバイス留置イメージ
現在、Woven EndoBridgeデバイスを使用するには、操作方法などの講習を受けたうえで、使用経験のある医師によるサポートのもと複数症例を実施する必要があります。
1本の血管から、Y字に2本の血管に枝分かれした形状です。血流が激しく当たるため、瘤ができやすいとされています。
「手技時間」とは、「Woven EndoBridgeデバイスを留置用カテーテルに挿入してから抜去するまでの時間」を指し、患者さんが治療を受ける時間とは異なります。また、20.9分は承認の根拠となった臨床試験の対象症例における平均時間です。
アシストステントとは、コイル塞栓術で使用する製品です。ワイドネック型の動脈瘤にコイルを詰める際に、コイルが突出やこぼれ落ちてしまうことを防ぎます。
一般的名称 | 中心循環系血管内塞栓促進用補綴材 |
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販売名 | Woven EndoBridgeデバイス |
医療機器承認番号 | 30100BZX00268 |
使用目的又は効果 | 前方循環系又は後方循環系の分岐部に位置する、ワイドネック型(ネック部が4mm以上又はドーム/ネック比が2未満と定義)の頭蓋内動脈瘤に対する血管内治療に使用される。 |
本製品は、テルモが2016年に買収したSequent Medical, Inc.が開発したものです。現在、同社の開発などの機能は、米国子会社MicroVention, Inc.(カリフォルニア州)に統合され、運営されています。
テルモは、「医療を通じて社会に貢献する」という理念を掲げ、100年の歴史を持つ医療機器メーカーです。日本に本社を構え、世界160以上の国と地域で事業を展開、30,000人以上のアソシエイト(社員)が革新的なソリューションを届けるために日々働いています。
国産体温計の製造に始まり、設立以来、医療の基盤を支え続けてきました。現在は、カテーテル治療、心臓外科手術、薬剤投与、糖尿病管理、腹膜透析、輸血や細胞治療などに関する幅広い製品・サービスを提供しています。
テルモは、患者さんや医療従事者をはじめ、広く社会にとって価値ある企業を目指します。