
News release
テルモのニュースリリースは、当社企業活動をステークホルダーの皆様にお伝えするためのものです。医療機器や医薬品の情報が含まれることがありますが、これらは報道関係者、株主・投資家等の皆様を対象にした情報であり、顧客誘引や医学的アドバイスを目的とするものではありません。
新型コロナウイルスなどによる重症呼吸不全の治療を想定し、長期管理を支援する機能を強化
テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:鮫島 光)は、心停止時の緊急心肺蘇生や重症呼吸不全などの治療に使用されるECMO*1システムについて、システムの中核を担う体外循環装置用遠心ポンプ駆動装置の新機種「キャピオックス遠心ポンプコントローラー SP-300」を全国の医療機関に向けて販売開始しました。
ECMO(体外式膜型人工肺)は、心臓や肺の機能を一時的に装置で補助し、患者さんの状態が回復するまで血液循環や呼吸をサポートする治療方法です。ECMOシステムは、遠心ポンプと人工肺を含む血液回路キット、送脱血カニューレ、遠心ポンプ駆動装置などから構成されています。心停止や心原性ショックに対する緊急処置、重症心不全に対する補助循環や、重症呼吸不全に陥った患者さんの呼吸を補助する目的で使用されます。
新型コロナウイルス禍において注目された重症呼吸不全の患者さんの治療では、数週間にわたってECMOシステムを使用するケースが多く、医療現場からは、血液回路や人工肺の劣化やトラブルをよりきめ細やかにモニタリングし、より安全な長期管理につなげたいというニーズが高まっていました。
今回新たに発売する遠心ポンプコントローラーは、従来機種*2と比べて血液回路内の血栓の発生などといった異常を検知するためのセンサー類を増やし、モニタリング機能を強化することで、患者さんの長期管理を支援することを目指しました。循環する血液の流れと気泡の混入を検知する流量・気泡センサーを2チャンネルに、脱血圧・人工肺前圧・送血圧といった複数箇所の測定ができるように圧力センサーを3チャンネルに増やしたほか、新たに酸素飽和度センサーを2チャンネル搭載しました。センサーで測定する全てのパラメーターは、データの変化が分かるトレンドグラフにより確認が可能なため、トラブル発生のタイムリーな検知や事後の振り返りを行うことにも役立ちます。
また、医療安全の観点から従来の機器との互換性も配慮しました。新機種は、従来機種*2で使用していたものと同様の人工肺・血液回路に対応しており、回路交換などのセットアップはこれまでの手順とは変わらないため、医療現場へのスムーズな導入・運用につながります。
テルモのECMOは販売開始から今年で30周年です。テルモは、1970年代より人工肺の研究を開始し、1995年にはECMOを国内で発売しました。これまで研究開発を通じて長期使用に応えるため耐久性を追求した改良を継続し、現在は日本をはじめ一部アジア地域の医療現場で使用されています。
テルモはこれからも、「医療の進化」と「患者さんのQOL向上」への貢献を追求し、人々の健康といのちを支える価値ある製品やサービスを届けてまいります。
*1 Extracorporeal Membrane Oxygenation:体外式膜型人工肺
*2 キャピオックス遠心ポンプコントローラー SP-200
一般的名称:体外循環装置用遠心ポンプ駆動装置
販売名:キャピオックス遠心ポンプコントローラー SP-300
医療機器承認番号:30600BZX00220000
*3 2025年2月現在。テルモ調べ。
テルモは、「医療を通じて社会に貢献する」という理念を掲げ、100年の歴史を持つ医療機器メーカーです。日本に本社を構え、世界160以上の国と地域で事業を展開、30,000人以上のアソシエイト(社員)が革新的なソリューションを届けるために日々働いています。
国産体温計の製造に始まり、設立以来、医療の基盤を支え続けてきました。現在は、カテーテル治療、心臓外科手術、薬剤投与、糖尿病管理、腹膜透析、輸血や細胞治療などに関する幅広い製品・サービスを提供しています。
テルモは、患者さんや医療従事者をはじめ、広く社会にとって価値ある企業を目指します。