テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:佐藤 慎次郎)は、手首の動脈からアクセス(以下、ラディアルアクセス)して行う腹部カテーテル治療(Radial Access for Visceral Intervention:以下、R.A.V.I.)に関する臨床研究 「The R.A.V.I. Registry」の結果が発表されたことをお知らせします。
本臨床研究を通じて、R.A.V.I. の安全性と有効性を検証し、従来から行われている太ももの動脈からアクセスする手技に代わって、腹部カテーテル治療においても
*1ラディアルアクセスが多くの症例で第一選択になりうることを示しました。研究内容は、3月7日に、米国最大級のインターベンショナル・ラジオロジー(画像下治療)の学会であるSociety of Interventional Radiology(SIR)にて発表しています。
画像下治療とは、レントゲンやCTなどの画像診断装置で造影しながら、カテーテルや針などの細かい医療機器を用いて行う治療方法です。子宮筋腫、前立腺肥大症、肝がん、血管過多腫瘍など腹部の疾患では、動脈からカテーテルを挿入して、コイルやビーズなどで病変部の血管を塞栓する治療が実施されています。腹部カテーテル治療は外科手術と比べて侵襲性が低く、患者さんの身体への負担が少ないとされています。
R.A.V.I. Registryは、腹部カテーテル治療におけるラディアルアクセスの安全性と有効性を検証する研究としては最大規模の多施設共同前向き研究です。2020年2月から2022年1月の期間にR.A.V.I.を実施した患者さん99名を対象に登録しています。臨床研究を主導したMarcelo Guimaraes医師が所属するMedical University of South Carolinaを含めた、米国の6施設
*2が参加しています。
本臨床研究では、ラディアルアクセス関連の合併症の発生率などについて治療後30日のフォローアップを行い、安全性の主要評価項目
*3で良好な結果を示しました。また、手技の成功率
*4および治療の完遂率
*5は共に100%であり、疾患の種類(良性・悪性)に限らず、腹部カテーテル治療においてラディアルアクセスが有効であることを確認しました。さらに、対象者のうち74名(74.7%)は、治療と同日に退院していることから、ラディアルアクセスによる患者さんの早期退院から病床の回転率を高め、医療経済性にも貢献することが期待できます。
さらに、子宮筋腫の治療にR.A.V.I.を実施した患者さん70名の1年後フォローアップの結果もSIRにて公表しました。早期退院に加えて、出血性合併症の低減などを示唆した結果となっています。
テルモはこれからもラディアルアクセスによる手技の普及を目指して、R.A.V.I.で使用しやすい製品の開発、トレーニング機会の提供、エビデンス構築の支援などを通して「医療の進化」と「患者さんのQOL向上」に貢献してまいります。
*2 参加施設:The Mount Sinai Hospital, New York, NY; St. Louis University; University of North Carolina at Chapel Hill; Rush University, Chicago, IL; The University of California, Los Angeles.
*3 主要評価項目:ラディアルアクセス関連の合併症(例:橈骨動脈閉塞、手指虚血)、脳卒中、心筋梗塞、死亡
*4 手技の成功率:太ももなど、他の動脈からのアプローチに変更せずにラディアルアクセスを実施すること
*5 治療の完遂率:目的としていた病変部を塞栓すること
※本発表は、テルモメディカル社が2023年3月7日に発表した内容の一部を和訳・編集したものです。
原文は
https://www.terumo.com/newsrelease/detail/20230307/5706 をご覧ください。