
News release
テルモのニュースリリースは、当社企業活動をステークホルダーの皆様にお伝えするためのものです。医療機器や医薬品の情報が含まれることがありますが、これらは報道関係者、株主・投資家等の皆様を対象にした情報であり、顧客誘引や医学的アドバイスを目的とするものではありません。
「見える化」で、カテーテル肝がん治療分野を強化
テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:佐藤 慎次郎)は、このたび、オランダ医療系スタートアップのクイレム・メディカル社を買収することに合意し、買収手続きが完了しました。テルモはクイレム・メディカル社株式の19.9%を保有しているため、このたび80.1%を同社創業者などから取得し、100%子会社としました。
買収金額は一時金2,000万米国ドルで、今後一定の条件達成に応じたマイルストーンとして、2030年までに最大2,500万米国ドルの支払いが発生します。買収資金は手元資金による充当を予定しています。なお、本買収に伴う2020年度のテルモの財務状態に与える影響は軽微です。
クイレム・メディカル社は、放射線放出ビーズ「QuiremSpheres」(クイレムスフィア)などを開発・生産する企業です。放射線放出ビーズは、カテーテルを通して肝動脈に運ばれ、放射線でがん細胞を攻撃します。治療の対象は、外科的に切除が難しい進行期から終末期の肝がんです。テルモは、2015年に同社に出資し、これらの製品のグローバルでの独占販売権を取得しました。
2017年に欧州で発売されたQuiremSpheresは、世界で唯一、放射性同位元素Holmium-166を内包し、製品化されている放射線放出ビーズです。その元素の特徴から、従来はできなかったSPECT(Single Photon Emission CT: ガンマ線検出による画像診断)とMRI(磁気共鳴による画像診断)による画像診断が可能です。
さらに、QuiremSpheresの投与前に使用し、粒子分布を予測する術前診断用のビーズ「QuiremScout」、SPECTやMRIのデータを元に、治療計画と治療評価をサポートする3D線量分布測定ソフトウェア「Q-Suite」と組み合わせることで、術前から術後までの一貫した画像診断が可能となります。カテーテルがん治療の可視化(見える化)により、患者さん一人ひとりに適した個別化医療が期待できます。
カテーテルがん治療はグローバルで10億米国ドル以上の市場規模があり、年平均7%で成長していますが、放射線放出ビーズは、今後もこの成長を牽引することが見込まれています。
テルモは、肝がんに対するカテーテル治療の領域で、放射線放出ビーズ以外にも、自社のマイクロカテーテル「Progreat」、塞栓用ビーズ「HydroPearl」、薬剤溶出型ビーズ「LifePearl」、生分解性薬剤溶出型ビーズ「BioPearl」などを展開し、存在感を高めています。
このたびの買収を経て、同社の生産体制や臨床開発機能などを強化するとともに、製品展開を欧州からグローバルに拡大することを目指します。また、肝がんに対する幅広い治療の選択肢を揃え、この領域で貢献し続けながら、さらに他臓器のがん治療への応用検証も進めます。
QuiremScoutとQuiremSpheres
Q-Suite
会社名 | Quirem Medical B.V. |
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設立 | 2013年 |
本社所在地 | Deventer, The Netherlands |
社員数 | 約30人 |
*買収前は、テルモの「関連会社」に該当(テルモ持分は20%未満だが、重要な影響力を有していたため)
テルモは、「医療を通じて社会に貢献する」という理念を掲げ、100年の歴史を持つ医療機器メーカーです。日本に本社を構え、世界160以上の国と地域で事業を展開、30,000人以上のアソシエイト(社員)が革新的なソリューションを届けるために日々働いています。
国産体温計の製造に始まり、設立以来、医療の基盤を支え続けてきました。現在は、カテーテル治療、心臓外科手術、薬剤投与、糖尿病管理、腹膜透析、輸血や細胞治療などに関する幅広い製品・サービスを提供しています。
テルモは、患者さんや医療従事者をはじめ、広く社会にとって価値ある企業を目指します。