テルモ、薬剤溶出型冠動脈ステントに関する37,000人規模の臨床研究結果を発表 PCR e-Course 2020にて「e-ULTIMASTER」の最新報告

2020年7月 7日

 テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:佐藤 慎次郎)は、6月26日に、心臓カテーテル治療の国際学会「PCR e-Course 2020」にて、薬剤溶出型冠動脈ステント「アルチマスター」(Ultimaster)に関する臨床研究「e-ULTIMASTER」の最新データを発表しました。

 e-ULTIMASTERは、ヨーロッパ、日本を含むアジア、アフリカ、南米の4大陸で実施されたグローバルな臨床研究です。378の病院で登録された患者数は37,000人を超え、単一のステントでは、世界最大規模の研究となりました。このたびの膨大な実臨床データ(リアルワールドデータ)は、改めて、アルチマスターの安全性と有効性を確認するとともに、さまざまな高リスク要因を持つ患者さんの治療データ蓄積にもなりました。

 主要評価項目であった、術後1年以内に治療後の血管が再び詰まってしまうなどの標的病変不全*1(TLF: Target Lesion Failure)は、いずれの地域でも5%以下でした。また、ステント留置後1年間のステント血栓症発生率も1%以下で、アルチマスターの安全性が確認されました。

 発表は、ジュネーブ大学病院(スイス)のMarco Roffi教授をはじめとする4名の医師が行いました。全データの1年目解析結果に加え、e-ULTIMASTERのビッグデータを生かし、患者背景・治療手技の地域差や、それによる臨床成績への影響についても、評価と考察が可能になる貴重な研究であると明言されました。また、本臨床研究の質の面からも、オンライン・実地を併用したデータ確認、独立した組織による有害事象の評価と判定、術後1年時点の追跡率が95%以上の高いフォローアップ率、といった点で高く評価を受けました。

 さらに、今回、分岐部病変、多枝疾患などの複雑病変*2の高リスク要因を持つ患者さんのみを対象にした探索的解析も行われました。より複雑な治療であるほど、虚血や出血性の合併症が高かったことや、分岐部病変ではPOT(Proximal Optimization Technique)手技*3の有無が良好な結果に影響することが示唆されました。キール大学(イギリス)のMamas Mamas教授は「e-ULTIMASTERのような大規模なグローバル臨床研究は、非常に貴重で価値がある。臨床試験の多くは患者を特定の治療法に割り当てるため、参加基準を満たす患者だけが対象になる。一方、今回のビッグデータは、通常は臨床試験の対象にならない、普段私たちが臨床現場で目の当たりにしている合併症を有する患者も多く含んでいる」とコメントしました。

 テルモはこれからも、患者さんの最適な治療につながる根拠に基づく医療に貢献してまいります。

  • *1

    標的病変不全(TLF)とは、心臓死、標的血管に関連した心筋梗塞、もしくは標的血管の再血行再建のいずれかが発生した場合に該当する複合指標です。

  • *2

    複雑病変とは、慢性完全閉塞(CTO: Chronic Total Occlusion)や、総ステント長60mm以上、ステント3本以上の留置などを含む6つの条件いずれかに該当する症例として定義しました。

  • *3

    冠動脈が枝分かれしている部分に狭窄病変がある場合に、使用される手技のひとつです。分岐部でも、ステントが血管壁にしっかりと圧着するように、側枝の手前を部分的にバルーンで拡張します。

アルチマスターについて

ステントとは、心臓の冠動脈が狭窄や閉塞することで起きる、狭心症や心筋梗塞などの治療で用いられる、埋め込み型の医療機器です。テルモは、薬剤溶出型冠動脈ステント「アルチマスター」を、欧州では2014年、日本では2015年に販売開始し、米国と中国を除く全世界でシリーズ合計100万本を超える販売実績があります。柔軟なステントデザインや、生分解性のポリマーなどの特長を有しており、血管内での早期内皮化による再狭窄抑制が期待されています。

テルモの開示資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、当社としてその実現を約束する趣旨のものではありません。様々な要因により、実際の業績等が変動する可能性があることをご承知おきください。実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、テルモの事業領域を取り巻く経済情勢、為替レートの変動、競争状況などがあります。

印刷
T
O
P