TERUMO STORY エピソードで綴るテルモの歴史 SINCE1921

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患者さんとともに空を飛んだキャピオックスEBS
───経皮的補助循環システムの開発

北海道初、人工心肺をつけた患者さんの飛行機輸送

経皮的補助循環システム「キャピオックスEBS」 経皮的補助循環システム
「キャピオックスEBS」

2001(平成13)年2月、北海道の紋別空港から、重症の心臓疾患で倒れた患者さんを乗せた飛行機が飛び立ちました。心不全の状態で病院に運び込まれた患者さんには、心臓と肺の機能を体外で代行する人工心肺装置・PCPS(経皮的補助循環システム)がつけられていました。その人工心肺は1995年にテルモが開発・販売した「キャピオックスEBS」だったのです。飛行機は重症の心不全患者を手術できる札幌医科大学付属病院に向けて飛行していきました。

北海道内で人工心肺をつけた患者さんを飛行機で運んだのはこれが初めてのことです。患者さんとともに空を飛んだキャピオックスEBSは、地元の新聞にも「航空機用い、道内初 人工心肺付けた患者搬送」と大きく報じられました。

テルモが、米国クリ―ブランド・クリニックのDr.ループから依頼されて、PCPSの開発を本格的に手がけたのは1989年のことでした。開発にあたっては、QUICK(5分以内でセットアップ可能)、COMPACT(救急車に搭載可能)、 SIMPLE(最低必要な機能)の3つを設定して、研究開発にチャレンジしていきました。

 

テルモ初体験のPCPS の開発に成功する

体外循環手術現場 体外循環手術現場

PCPSの開発は、テルモにとって初めての経験だけに、遠心ポンプの溶血や流量計の精度などの問題が発生し、苦労の連続でした。やっと1992年から臨床使用に入りましたが、医師からは熱交換器がほしい、装置に圧力計や温度計がほしいなど、さまざまな要望が出てきました。

けれども、それらの要求のすべてを取り入れると、最初の3つのコンセプトの目標を達成できなくなります。できる限り医師の要望を取り入れながら、調整、選別を繰り返し、1995年3月「キャピオックスEBS」の発売に漕ぎつけたのです。最初のコンセプトを守ったからこそ、飛行機に搭載できるコンパクトで機能的なPCPSを実現できたといえるでしょう。この製品は、1997年の第5回日本人工臓器学会“技術賞”を受賞することができました。

テルモはこうした人工心肺の技術をさらに発展させるため、1999年米国3M社からカーディオバスキュラー(人工心肺関連事業)を譲り受け、テルモカーディオバスキュラー社を設立、カニューレ、血液ガスモニター機器、ローラーポンプなどを加えて、人工心肺システムのすべてを供給できるようになりました。

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