TERUMO STORY エピソードで綴るテルモの歴史 SINCE1921

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人にやさしい医療を求めて
───高性能カテーテル開発にかける

少女を救ったテルモの高性能カテーテル

1987(昭和62)年のこと、香川県のある病院に14歳の少女が重い病気で入院していました。少女は脳動脈奇形と動脈瘤を併発していて、からだを動かすと動脈瘤が破裂するおそれがあり、通常の切開手術は危険すぎてできない状態でした。そのままでは一生退院できる見込みはありません。

その少女を救ったのは、テルモの開発した高性能カテーテルである「先端部造影能強化型ラジフォーカス(0.014インチガイドワイヤー)」でした。まだ試作段階のカテーテルでしたが、担当した医師は手術ができないならカテーテル治療を施す以外にないと、テルモのカテーテルによる治療を選択したのでした。医師の手によってテルモのラジフォーカスが少女の脳内の患部まで挿入され、塞栓治療が施され、その結果、少女は完治することができたのです。少女や家族の喜びがどれほどのものだったか、語るまでもありません。

アメリカをあっと言わせた画期的なガイドワイヤー

ガイドワイヤーM ガイドワイヤーM

テルモが汎用カテーテルとは別に、付加価値の高い高機能カテーテルである血管造影用カテーテルの開発に着手したのは1979年のことでした。これは血管内にカテーテルを挿入し、心臓や脳などの疾患部の近くに造影剤を流しエックス線で撮影するもので、臓器の診断に大きな力を発揮するものです。

開発はトライ・アンド・エラーの連続でした。もっとも困難だったのは、曲がりくねった血管や複雑な岐路を通って、カテーテルを目的の場所にまで運ぶガイドワイヤーでした。素材や構造を研究し尽くして、1985年、ついに水にぬれると“ヌルヌル”滑るMコート(親水性ポリマーコート)を使った新しいガイドワイヤーを開発したのでした。このガイドワイヤーを治療に応用したのが、先に述べた少女の脳の治療だったのです。この画期的な商品は「ガイドワイヤーM」としてアメリカで販売され、医師のみならずカテーテルメーカーをあっと言わせたのでした。

さらにテルモは、先端に特殊な風船(バルーン)がついた直径1mm程度の細いカテーテルを腕や大腿部の動脈から挿入し、狭くなったり閉塞した心臓の冠動脈に通して治療するPTCA拡張カテーテルの開発に挑みました。そして、1995年以降、「ステノフォーカスNT」を皮切りに、続々と新しい商品を市場に送り出したのです。

それまで、切開手術によってしか治療できなかった脳、心臓などの重い病気も、高機能カテーテルの開発によって、患者さんに大きな負担をかけることなく治療することができるようになりました。それはテルモの掲げる「人にやさしい医療」の実現でもありました。

(左)PTCA拡張カテーテルのバルーン部(右)PTCA拡張カテーテル「ステノフォーカスNT」 (左)PTCA拡張カテーテルのバルーン部
(右)PTCA拡張カテーテル「ステノフォーカスNT」

 

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