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 テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:佐藤 慎次郎)は、テルモの薬剤溶出冠動脈ステントUltimaster(アルチマスター)に関連する臨床試験「MASTER DAPT」の症例登録が完了したことをお知らせします。本試験は、出血性合併症リスクの高い患者さんの冠動脈にステントを留置して、1カ月経過した時点で二剤抗血小板療法(DAPT)を単剤抗血小板療法に変更した際の安全性・有効性を検証します。
 MASTER DAPTは、欧州、日本、アジア、中南米の30カ国・140施設にわたる大規模な医師主導の無作為比較試験です。4,300人の登録を目標とし、このたび約4,500人の登録が完了しました。
 本試験に登録されたUltimasterを留置している出血性合併症リスクの高い患者さん全員を対象に、二剤抗血小板療法を5カ月以上継続する群と、1カ月に短縮する群に分けて比較します。ステント留置後、出血性合併症の発生や死亡、心筋梗塞、脳卒中などから1年間の予後に差がないか検証を行います。
 臨床試験主導医の Marco Valgimigli医師(スイス、ベルン大学病院)とPeter Smits医師(オランダ、マーススタト病院)は、「MASTER DAPTは多くの臨床研究で対象外とされてきた出血性リスクの高い患者さんにおいて最適な抗血小板療法を検証します。グローバル規模で患者さんを集めたことにより、出血リスクを抱える患者さんの予後といった、万国共通の課題の解決につながると信じています」とコメントしています。
 また、二剤抗血小板療法の短縮化の安全性が実証されると、薬剤の過剰処方防止や、出血性合併症による入院日数削減など、医療費削減の効果も期待されます。

MASTER DAPTおよび抗血小板療法について

 MASTER DAPT (MAnagement of high bleeding risk patients post bioresorbable polymer coated STEnt implantation with an abbReviated versus prolonged DAPT regimen)はテルモのUltimasterを留置した出血性合併症リスクの高い患者さんを対象とした臨床試験です。

 血管内にステントを留置した後は、血栓症を防止するために抗血小板薬を2剤服用します(二剤抗血小板療法:DAPT)。しかし、抗血小板薬を服用することにより、皮下出血や歯肉出血、場合によっては輸血が必要になるほど失血をしてしまう「出血性合併症」のリスクが上昇します。特に、がんや他の疾患を併発している患者さんなどにおいては、出血性のリスクが高く、二剤抗血小板療法の実施期間短縮が求められています。

プロトコル:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30703644 

Ultimaster(アルチマスター)について

 Ultimasterは欧州では2014年、日本では2015年に販売開始し、2018年にはデリバリーシステム(カテーテルの先端とシャフト)を改良した「Ultimaster Tansei」を発売しました。

 Ultimasterはコーティングの材料として生分解性ポリマーを採用するとともに、ポリマーと薬剤を血管組織に接する面にのみ塗布しています。これによって再狭窄の原因となる過度な細胞増殖を抑えつつ、血管内で早期の被覆化がされるため、二剤抗血小板療法が必要な期間の短縮が期待されています。

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    Ultimaster Tansei


テルモ概要

テルモは、「医療を通じて社会に貢献する」という理念を掲げ、100年の歴史を持つ医療機器メーカーです。日本に本社を構え、世界160以上の国と地域で事業を展開、30,000人以上のアソシエイト(社員)が革新的なソリューションを届けるために日々働いています。

国産体温計の製造に始まり、設立以来、医療の基盤を支え続けてきました。現在は、カテーテル治療、心臓外科手術、薬剤投与、糖尿病管理、腹膜透析、輸血や細胞治療などに関する幅広い製品・サービスを提供しています。

テルモは、患者さんや医療従事者をはじめ、広く社会にとって価値ある企業を目指します。

プレスリリースは、当社情報をステークホルダーの皆様へ公平かつ適切なタイミングでお知らせするためのものです。文中に含まれる製品情報(開発中のものを含む)は、顧客誘引や医学的アドバイスを目的とするものではありません。
また、業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、当社としてその実現を約束する趣旨のものではありません。さまざまな要因により、実際の業績等が変動する可能性があることをご承知おきください。実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、テルモの事業領域を取り巻く経済情勢、為替レートの変動、競争状況などがあります。