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 テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:佐藤 慎次郎)は、薬剤溶出型冠動脈ステント「Ultimaster」に関する臨床試験「MODEL U-SES」の結果が米国最大のカテーテル学会TCT*1 2019で発表されたことをお知らせします。
 冠動脈治療では、血管内に留置したステントによる血栓症を防止するために、治療後に抗血小板薬を二剤服用します(二剤抗血小板療法)。一方、抗血小板薬を服用することで、出血性合併症のリスクが高まるため、二剤を併用する期間は短い方が望ましいとされています。
 Ultimasterはコーティングの材料として生分解性ポリマーを採用するとともに、ポリマーと薬剤を血管組織に接する面にのみ塗布しています。これによって再狭窄の原因となる過度な細胞増殖を抑えつつ、血管内で早期の被覆化がされるため、二剤抗血小板療法が必要な期間の短縮が期待されていました。
 MODEL U-SES試験はUltimasterを留置後、二剤抗血小板療法から3カ月で単剤抗血小板療法へ移行した際の安全性・有効性を示すために、日本65施設の医療機関で、1,695名の患者を対象に前向き・単一群で実施されました。3カ月で単剤抗血小板療法に移行した場合でも、より長期に二剤抗血小板療法を続けた対照群と比較して同等の安全性・有効性が示されました。*2
 Ultimasterは欧州では2014年、日本では2015年に販売開始し、2018年にはデリバリーシステム(カテーテルの先端とシャフト)を改良した「Ultimaster Tansei」を発売しました。Ultimasterシリーズで、米国と中国を除く全世界で100万本を超える販売実績があります。
 本試験の責任医師である上妻謙教授(帝京大学医学部附属病院 循環器内科)は、「MODEL U-SES試験の結果から、二剤抗血小板療法の長期継続が困難な症例においても、Ultimasterステント留置後3カ月以降は、有効性を損なうことなく、安全に単剤抗血小板療法へ移行できる可能性が示唆されました」とコメントしています。
 テルモは本試験以外にも、4,300人を対象として、出血性合併症リスクの高い患者さんが1カ月のみ二剤抗血小板療法をした際の安全性・有効性を検証するランダム化比較試験「MASTER DAPT」を実施しています。MASTER DAPT試験の結果は2021年に出る見通しで、これらの試験結果を元に、これからも患者さんの安全と根拠に基づく医療に貢献してまいります。

  • *1

    Transcatheter Cardiovascular Therapeutics

  • *2

    本試験の主要アウトカム評価項目は、ステント留置後12カ月の総死亡、心筋梗塞、脳卒中(虚血性および出血性)、ARC Definite/Probableステント血栓症、重篤な出血(BARC 3または5)の複合評価項目。

テルモ概要

テルモは、「医療を通じて社会に貢献する」という理念を掲げ、100年の歴史を持つ医療機器メーカーです。日本に本社を構え、世界160以上の国と地域で事業を展開、30,000人以上のアソシエイト(社員)が革新的なソリューションを届けるために日々働いています。

国産体温計の製造に始まり、設立以来、医療の基盤を支え続けてきました。現在は、カテーテル治療、心臓外科手術、薬剤投与、糖尿病管理、腹膜透析、輸血や細胞治療などに関する幅広い製品・サービスを提供しています。

テルモは、患者さんや医療従事者をはじめ、広く社会にとって価値ある企業を目指します。

プレスリリースは、当社情報をステークホルダーの皆様へ公平かつ適切なタイミングでお知らせするためのものです。文中に含まれる製品情報(開発中のものを含む)は、顧客誘引や医学的アドバイスを目的とするものではありません。
また、業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、当社としてその実現を約束する趣旨のものではありません。さまざまな要因により、実際の業績等が変動する可能性があることをご承知おきください。実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、テルモの事業領域を取り巻く経済情勢、為替レートの変動、競争状況などがあります。