ペスト菌の発見者は、日本の北里とフランスのエルサン2人か、それともエルサン1人だったのか。世界の微生物学界に起こった論争は、発見から82年後の論文により、ついに決着をみることになる。
一八九四年に発見されたペスト菌。日本の北里による発見とほぼ同時期に、もう1人のフランス人研究者によっても別個に発見がなされていた。その差は、わずか約1週間というものだった。
一八九四年、突如発生したペストの原因調査のため香港へ向かった北里は、その病原菌の発見に短期間で成功する。人類を長年恐怖に陥れてきたペストの予防・治療へ向けた、大きな画期となった。
古来より人類を苦しめてきた伝染病、ペスト。世界の歴史を通してみればこの疫病による死者は一億人を超すという。特に凄惨を極めた中世ヨーロッパの大流行を、著名な絵画から紐解いていく。
北里柴三郎博士の功績を紹介した第30話から第35話までの6話を1冊にまとめました。
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