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プレスリリース 2018

2018年05月25日

テルモ、日本初のスプレー式癒着防止材の開発で高分子学会賞を受賞

 テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:佐藤 慎次郎)は、5月24日開催の高分子学会年次大会にて、スプレー式癒着防止材の開発で高分子学会賞を受賞しました。
 高分子学会賞は、公益社団法人高分子学会が主催し高分子科学と技術の進歩を図るため、独創的かつ優れた業績を挙げた会員を対象としてその功労を顕彰するものです。

 このたび受賞したスプレー式癒着防止材は、手術後に起きる「癒着」と呼ばれる合併症を軽減するために使用され、「アドスプレー」という製品名で2017年から販売されています。
 術後癒着は、外科手術などで損傷した生体組織が修復する過程において起きる現象で、腸閉塞、不妊症などの合併症の原因となっており、医療現場において関心の高い問題となっています。
 この臨床上の課題克服を目指した本製品は、手術部位への噴霧過程で高分子のゲルを形成する機構を備えたスプレー式癒着防止材です。
 その特徴的な高分子技術により、患部に容易に噴霧でき、適用部位の組織表面でゲル化して物理的隔壁となり、癒着防止効果を発揮した後は速やかに分解吸収されるように設計されています。
 現在、世界的にはフィルム貼付式の癒着防止材が多く使用されていますが、本製品は日本初のスプレー式で、その特徴を生かした術後癒着の軽減が期待されます。
 テルモは今後も、革新的な製品をいち早く医療現場に届けるため、研究開発を強化してまいります。

AdSpray日本初のスプレー式癒着防止材「アドスプレー」
一般的名称:癒着防止吸収性バリア
医療機器承認番号:22800BZX00234

※テルモ調べ

癒着防止材「アドスプレー」の特徴

1.生体適合性に優れ、速やかに分解、吸収されること
 ゲルの主骨格となる高分子材料として、生体適合性に優れたデキストリンを採用しています。デキストリンは、生体内でアミラーゼ酵素により容易に加水分解され素早く吸収されます。癒着形成の初期段階である臓器間のフィブリンネットワークの形成が生じやすい期間は残存してこれを妨げ、その後、速やかに分解、吸収されることが予測されています。

2.複雑な形状に適用可能であること
 スプレーヤーで患部に噴霧でき、適用部位で速やかにゲル化する性能を達成するため、噴霧時に2液が混合される仕組みにしました。組織表面に噴霧される過程でゲル化が進行することにより、物理的隔壁となるゲルが、組織表面の形状に沿って付着し、癒着防止効果を発揮することが期待されます。

3.術式を問わず、アクセスが容易であること
 術式を問わず、ゲルを確実に適用部位に噴霧できるように、専用のスプレーヤーを開発しました。スプレーヤーは狭い箇所や腹腔鏡手術での操作が容易に行えるようにノズル形状を採用し、さらに、手元操作によってノズル先端角度が調節できる機構にしました。

4.噴霧されたゲルが容易に確認できること
 スプレーヤーで2液を混合・噴霧する際にガスを利用し、形成されたゲルにマイクロバブルが含まれる設計です。これによって、ゲルが白く可視化され、術野での視認性の向上を目指しました。

術後癒着とは

 身体には傷を治そうとするはたらきがあります。そのため、外科手術を受けた患者さんの傷口は時間とともにふさがりますが、その過程で本来離れている臓器・組織面同士がくっついてしまうことがあります。この現象を「癒着」と呼び、腹腔内や骨盤腔内などのあらゆる手術部位で50~90%という頻度で起こると言われています。
 長寿化によって、一生の間に複数回手術を受ける患者さんが増えていますが、過去に受けた手術が原因で強い癒着が生じていると、次の手術を行う際、まずはその癒着をはがすことから始める必要があります。これにより、手術時間の延長や組織損傷のリスクが高まります。また近年、子宮内膜症など婦人科系疾患の手術を受ける若年層の患者さんが増えています。このような婦人科の手術後の癒着によって、不妊症のリスクが高まっていることも懸念されています。
 その他にも腸閉塞や慢性骨盤痛を引き起こすなど、癒着は患者さんの術後QOLを低下させる一因となっており、その合併症の発症リスクの低減が求められています。

テルモの術後QOL改善の取り組み

 テルモは癒着防止材の拡大を通じて、腸閉塞、不妊症、慢性骨盤痛などの合併症の原因となっている術後癒着の軽減を目指しています。また、癒着防止材以外にも、痛みを和らげる疼痛緩和製品や、必要な栄養を摂取する高濃度栄養食品も取り揃えており、これからも幅広い領域で術後QOL(生活の質:Quality of Life)の改善に取り組んでまいります。

テルモの開示資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、当社としてその実現を約束する趣旨のものではありません。様々な要因により、実際の業績等が変動する可能性があることをご承知おきください。実際の業績に影響を与えうる重要な要素には、テルモの事業領域を取り巻く経済情勢、為替レートの変動、競争状況などがあります。


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