

くわじま いわお/1971年岩手医科大学医学部卒業。1973年研修医終了後、東京都養育院付属病院(現東京都老人医療センター)循環器科勤務、80年に米国ニューオリンズオクスナー研究所留学、87年東京都老人医療センター内科医長、97年同センター循環器科部長、2003年同センター内科部長、2005年4月同センター副院長、現在に至る。


これまで高血圧は、医師が診察室で測る外来血圧だけで診断されてきました。しかし、家庭用血圧計の普及により、“診察室では正常だったのに、家庭で測ったら高かった”というケースが多いことがわかってきたのです。この症状を、“正常血圧の仮面をつけた高血圧”という意味で「仮面高血圧」と呼びます。「仮面高血圧」の原因として、高血圧の方は一日一回、朝方に降圧薬を飲むことが多いため、昼間病院で測る時には血圧が下がっていることがあげられます。また、喫煙中は血圧が上がりますが、診察室では喫煙しないため普段より血圧が下がっている場合が多いのです。逆に、日常生活では正常なのに、診察室では緊張して血圧が高くなることを「白衣高血圧」といいますが、最近の研究により、積極的に治療しなくてもあまり心配がないことがわかっています。
私が以前に行った調査では、60歳以上の方の10人中4人が「仮面高血圧」の症状を示していました。「仮面高血圧」は発見しにくいため放置されがちですが、日常的な高血圧により血管に負担がかかり、腎臓機能の低下や心臓病、脳卒中など動脈硬化性疾患の原因となります。高血圧の患者さんを対象とした調査では、適切な治療を受けている方に比べ、「仮面高血圧」の方は脳卒中や心臓病の発症頻度が約3倍も高いという結果が出ているのです。
![]()