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健康ガイド

嚥下(えんげ)障害の方も楽しい食事を
第1章 摂食・嚥下障害について

1.摂食・嚥下障害について

独立行政法人国立病院機構 徳島病院
臨床研究部 神経内科  野崎園子
栄養管理室  藤原育代 石川就一 松本綾

独立行政法人国立病院機構 刀根山病院
栄養管理室 管理栄養士  坂口充弘
調理師    米田 隆

はじめに

摂食・嚥下障害の原因は唇顎口蓋裂(こうがいれつ)などの生まれつきの病気、耳鼻咽喉科手術の術後、脳性麻痺、認知症、脳血管障害、神経筋難病、呼吸器疾患、お薬の影響(例:利尿剤、パーキンソン病治療薬、精神安定剤)、加齢などさまざまです。
つまり、摂食・嚥下障害は誰にでも起こりうる障害です。
摂食・嚥下障害かなと思ったら、医師に相談して検査をうけましょう。
その食事・調理方法はあなたに合っていますか?
その食べ方は正しいですか?
食べることに疲れていませんか?
一番大切なのは、患者さんの嚥下機能にあったお食事を作ってさし上げることです。工夫すればずっと上手に食べられます。
ここでは、日常の調理の工夫で、家族の方と同じメニューを食べて頂けることをめざし、レシピを作りました。
まずは摂食・嚥下障害について知識の復習をしましょう。

独立行政法人国立病院機構 徳島病院
臨床研究部 神経内科  野崎園子

摂食・嚥下障害とは

摂食・嚥下運動は以下のようにおこります。
まず、食物が口に入る前に何をどのくらい、どのように食べるかを決めて行動します。次に食物を口に入れて噛み砕き、舌でまとめて咽頭へ送りやすい形にし、食物を口腔から咽頭の方向へ移送させます。ここで反射運動により咽頭から食道へ食物を移送させ、蠕動(ぜんどう)運動により食道から胃へ移送させます。
もう少し、摂食・嚥下障害を理解するために嚥下に関わる器官について、図で簡単にご説明しましょう。図1を参照して下さい。嚥下の器官の中でわかりにくいものに、喉頭蓋谷(こうとうがいこく)と梨状窩(りじょうか)があります。図にありますように、気道と食道は前後に隣り合わせにあります。喉頭蓋(こうとうがい)は、嚥下運動と共に下向きに倒れ、食物が食道に送られる時に気道に蓋をする役目をします(図1の(4)(5))。この動きは普通一秒以内です。通常、喉頭蓋は上を向いており、舌根(ぜっこん)との間に谷間ができます。これを喉頭蓋谷と言います。また梨状窩とは食道の入り口にある左右の袋状の溝のことで、奥舌から喉頭蓋谷に達した食物は左右に分かれてこの梨状窩を通過し、食道に入ります。この運動が円滑でなかったり、食物の通り道に障害物があって通過しにくいことを摂食・嚥下障害といいます。

図1 摂食・嚥下運動

藤島一郎:脳卒中の摂食・嚥下障害,第2版,医歯薬出版,東京.2005;P19~29

この中で、最も深刻なのは食物が気道に入ることで、これを誤嚥(ごえん)といい、食物や唾液などの分泌物が気道に流入することです。むせない誤嚥も多く、自覚症状がないため気づくのが遅く、むせる誤嚥より肺炎を引き起こす確率が高いと言われています。むせない誤嚥は誤嚥患者さんの3~5割と言われています。誤嚥は嚥下運動前・中・後の3つのパターンに分類されます(図2)。誤嚥の中では喉頭蓋谷や梨状窩への貯留物が食後や臥床時に気道に流入する嚥下運動後の誤嚥が最も多いのです。

図2 誤嚥の分類

藤島一郎:脳卒中の摂食・嚥下障害,第2版,医歯薬出版,東京.2005;P29.改変