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一般のお客様向け情報




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健康ガイド

普段着の血圧測定

監修:
宮川政昭先生
宮川内科小児科医院院長

みやかわ・まさあき/1953年生まれ。78年に東京慈恵会医科大学卒業、82年同大学大学院修了。同大学第二内科を経て、89年より宮川内科小児科医院院長に就任、現在に至る。高血圧治療における研究の第一人者であり、家庭血圧測定の重要性をさまざまな形で提案している。

「普段着の血圧を知ってください。」

私はいつも、普段着で診察をしています。なぜでしょうか?それは、白衣が好きではないからです。そして、普段着の医療がしたかったからです。

ではなぜ、医療従事者は白衣を着るのでしょうか?そもそも白衣は、ナイチンゲールの時代から、不衛生なものから自分を守るために着る、いわゆる予防衣の目的で着るようになったものです。白衣とは、患者さんのために着るのではなく、医療従事者が自らのために着るようになったのが本来の始まりなのです。

さあ、本題に入りましょう。
皆さんは、普段着の血圧を知っていますか?医療機関で測る血圧値は、普段着の血圧値ではなく、よそゆきの血圧値なのです。

毎日、家庭で血圧を測定することが、なぜ大切なのですか?

それは、皆さんの普段着の血圧値を知ることが必要だからです。

血圧は24時間、こんなに変動しています

血圧は一日のうちに、何度も大きく変動します。1分間に数10mmHgの単位で変わることも珍しくありません。入浴する時など、寒い脱衣所で裸になったり、熱い湯に入ると急上昇しますが、少しぬるめの適温の湯に長く入っていると下がっていきます。お酒を飲んだ直後は血圧が下がり、翌朝には上がります。たばこを吸っても血圧は上がります。その他、トイレ・食事・会話など、ちょっとした刺激で血圧は上下に変動するのです。

また、「白衣性高血圧」といって、病院に来るだけで緊張して血圧が上がってしまう場合もあります。特に年をとって血管が硬くなると、わずかな刺激が、大きな血圧の変動となって表れます。ですから高齢の方ほど、家庭で普段からなるべく同じ時間、同じ条件で血圧を測ることが必要なのです。

大切なことは、血圧は常に変動するものと心得て、測定値に一喜一憂せず、継続的に記録することです。高血圧の方はきちんと薬を服用していても、緊張、不安、怒り、興奮などの情動や、ご自身でも良くわからない状況で一時的に190mmHg/110mmHg位になることがあります。この血圧が毎日続いているのなら問題ですが、一過性であればすぐ大事に至ることはめったにありません。そういう時はもう一度落ち着いて測ってみましょう。それでも高いなら、主治医に相談してみてください。

血圧はいつ測ればいいの?測ってはいけない時はありますか?

朝と夜の決まった時間に、必ず上腕で測ってください。

血圧測定に適した時刻

家庭内で血圧を測定する場合、朝の起床後1時間以内・食前・排尿後、あるいは夜の就寝前に測ってください。入浴や食事の直後は血圧の変動が激しいので避けてください。

特に、朝起きてすぐの血圧測定は大切です。人によっては、夜から明け方にかけて、急激に血圧が上昇するケースがあります。こうした人は心臓病や脳血管障害を起こしやすいことがわかっています。夜眠っている間の血圧は朝の血圧値に表れやすいため、朝の血圧測定が重要なのです。

家庭で血圧を測ろうとする時、さまざまな精神的あるいは肉体的負担がかかることがあるでしょう。たまには家庭内の喧嘩があるでしょうし、コーヒーやお茶あるいは喫煙の影響にも注目すべきかも知れません。しかし、家庭血圧測定指針では、あえて喫煙や喫茶には触れてはいません。なぜなら、それがその人の習慣であるなら、それを含めた血圧を測定しようという考えが根底にあるからです。煙草やコーヒーを禁止するといった条件設定は、かえって測定者に精神的負担をかけてしまうかもしれません。

家庭血圧測定は長い期間に渡って続けてもらうことが大切です。余計な条件設定は、毎日測定しようという意欲を低下させることにつながります。ですから、誰もが容認できる最小限の条件として1-2分の安静としたのです。

一度に何回測ればいいですか?

家庭血圧の測定は、朝晩それぞれ1回ずつで充分です。

家庭血圧は、朝晩それぞれ1回目の測定値を記入してください。どうしても複数回測定する時は、個々にわかるように記入してください。

外来診療における血圧測定では、一度に複数回測定します。しかし、家庭血圧測定と外来血圧測定はもともと性格の異なるものです。家庭血圧測定は長期間測ることが原則であり、数多い値から平均値をとり得るところに本質があります。一ヶ月や二ヶ月に一度の外来診療における血圧測定は、その度ごとに患者さんの状態が異なり、また実質的に安静を保った後に測定することは困難です。だから外来血圧測定では、一機会ごとに複数回の測定が有効なのでしょう。

朝、晩それぞれ何度も測定すると、どの値をその時点の血圧とするか気になりますね。初回の測定値が高くても2回、3回と回数を重ねると低くなり、ほぼ一定に落ち着きます。安心したいがため低い値を出そうと何度も測る方がいますが、長続きしませんので1回で充分です。治療がうまく進めば、その1回目の高い値も徐々に下がります。

血圧は時々刻々変化するものです。いつも一定の値をとるほうが不自然です。思わぬ高い値が出たからといって、けっして慌てないでください。

家庭血圧はどうやって測るの?

測る時、以下の姿勢をよく守ってください。

イスや正座やあぐらなど、日常の座った姿勢で、1~2分安静にした後、上腕(肘関節より上)に腕帯をピッタリと巻きます。

また測る腕の高さが心臓の高さ(乳頭の位置)になるようにして下さい。心臓の右心房の位置が正しいのですが、よくわからない場合は医師や薬剤師に尋ねてください。

コラム~アルコールと血圧の関わり

欧米やわが国の研究では、慢性的な飲酒は血圧上昇の原因の一つとなることが報告されています。その程度はアルコール10ml当たり約1mmHgと考えられます。つまり、慢性的に飲酒をしている人が、アルコール分5%のビールを500mlのジョッキで飲めば、2.5mmHg血圧が上昇する可能性があるのです。また、大量の飲酒は治療抵抗性高血圧の一因ともなります。

一方、慢性の飲酒は夜間血圧の低下と日中血圧の上昇をもたらしますが、24時間平均血圧への影響はあまり見られません。しかし、早朝においては、アルコールの昇圧作用により血圧はさらに上昇します。また、毎日2合以上の飲酒をする人は、飲まない人に比べ高血圧者の割合が3~4倍あることもわかっています。特別な場合以外は禁酒まですることはありませんが、高血圧を防ぐために大量の慢性飲酒は制限する必要があります。

慢性的に飲酒をしている人の場合、500mlのビールを飲むと2.5mmHg血圧が上昇する可能性があります。
家庭血圧を測ると、どんなメリットがありますか?

脳や心臓の疾患をひきおこす、高血圧を予防する第一歩です。

より良い家庭血圧値は、125/80mmHg未満です。

最近の調査で、30代に高血圧の方が増えていることがわかりました。その原因として、40代~50代の方にくらべて医療機関にかかる比率が低いことがあげられます。

最近の高血圧の傾向として、脳出血につながる重症高血圧は減っているものの、軽症高血圧が増え、長年の間に動脈硬化をおこして、脳梗塞(のうこうそく)や心筋梗塞(しんきんこうそく)で倒れる人が増えています。

また、このような高血圧をそのままにしておくと、脳内にラクナ梗塞といって、血液の固まりが増えてきてアルツハイマー病になると言われています。

多忙な毎日を送っている30代では、「医療機関に行く時間なんかない」といわれる方が多いと思います。家庭血圧測定を習慣にすることで、高血圧の原因となる生活習慣の改善に努め、薬をきちんと飲み、定期的に通院するなど、医師や薬剤師と協力して血圧をコントロールする意欲がわくのです。

ですから、血圧を毎日気軽に測れるよう、血圧計はリビングにおいてください。家庭血圧測定を、健康なくらしを続けるための新しい習慣にしていただくようお願いします。