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テルモフェロー ◆ 野川淳彦の功績

開発の初期は失敗を恐れず、自由に考える。開発の初期は失敗を恐れず、自由に考える。

野川 淳彦野川 淳彦

野川 淳彦野川 淳彦

フェロー
心臓血管カンパニー CV事業

野川がテルモに入社した1982年は、ちょうどテルモが世界初の多孔質ポリプロピレンのホローファイバー(中空糸)型人工肺を発売した年だ。世界初の技術を成功させたこと、それにより長年に亘って世界の心臓外科手術に貢献してきたことが評価され、2016年2月にテルモは大河内記念賞*を受賞している。だが当時の彼は、その「世界初」に対し客観的な分析を加え、大胆な改良を断行することで、イノベーションを生み出した。

*大河内賞は、大河内正敏工学博士の功績を記念して設けられ、わが国の生産工学、生産技術の研究開発、および高度生産方式の実施等に関し、学術の進歩と産業の発展に大きく貢献した功績に対し贈呈される伝統と権威ある賞。大河内記念賞は、大河内賞の中でも最高位のもので、原則同一年度1業績にのみ贈呈される。

血液と酸素の通り道を逆転血液と酸素の通り道を逆転

最初のホローファイバー型人工肺は、中空糸の内側に血液を通し、外側を通る酸素との間でガス交換をさせる、「内部かん流」という仕組みだったが、野川は血液と酸素の通り道を逆転させ「外部かん流」に改めた。
中空糸の内側に血液を通していたのでは、はじめから膜面積によって性能の上限が決まってしまう。それなら中空糸の内側に酸素を、外側に血液を通し、ファイバーの周りを血液がまざりながら流れるようにすればガス交換の効率を高められる。当初は血液の流れにムラができてしまった。しかし試行錯誤をくり返しながら着実に構造を改善していくことで、やがて期待通りの性能が出るようになった。

新生児に使える人工肺も新生児に使える人工肺も

現在の人工肺は小型化され、新生児の手術にも使われるようになっているが、それは外部かん流の賜物といえる。小型化できる外部かん流式は、人工肺に充填する血液量、患者さんからみれば体外に循環させる血液の量を少なくできるため、体が小さい新生児にも対応できるようになったのだ。

世界で市場調査をしながら製品開発世界で市場調査をしながら製品開発

初めての外部かん流式人工肺を発売した数年後、野川はまた新しいタイプの人工肺を開発した。開発テーマは、「ゼロから考え直した人工肺」。数多くの試作の後、基本となるモデルを作り、国内だけでなく、アメリカにも、ヨーロッパにも市場調査に出かけた。その2週間の調査の間に、人工肺のデザインを変えてゆき、最後はこれまでにない形にガラリと変えることにした。直接現場の意見を聞くことの大切さを、身を持って理解したのだ。

イノベーションとは、どういうことかイノベーションとは、どういうことか

野川は、イノベーションは開発者だけでできるとは考えていない。たとえば気泡や血液の塊などを除去する動脈フィルターは、別個の器具として人工肺に接続して使うのが常識だったのだが、これを内蔵式にした。その新しい考え方をMRが広く医療現場に伝え、この製品が広く使われるようになった。その結果イノベーションが起こる。広く使われてこそのイノベーションなのだ。

開発技術者として、憶えておくこと開発技術者として、憶えておくこと

開発のステージの中で、すべて自由にやれるのは、初期の段階であり、後になるほど制約が出てくる。野川は、「だから最初の段階で、できるだけ自由に多くのトライをやって、失敗も大いにやること」だという。それが開発途上で起こる無数の問題を乗り越えていく力となる。アイデアや想いが問題を乗り越え得る形や仕組みとなり、医療の現場で使われて、はじめて医療を通じて社会に貢献することができるのだ。

人工肺とは

心臓や血管の手術をするとき、心臓を止める必要が生じることがある。そのとき使われるのが、心臓の代わりをする血液ポンプと、肺の代わりをする人工肺で構成される人工心肺だ。現在の人工肺は、ホローファイバー型が原型となっているものが多い。中空糸の膜面を介して、酸素ガスと、血液の間で酸素と二酸化炭素のガス交換を行い、患者さんの身体に酸素を供給し、生命を維持するのが目的となる。

ホローファイバー

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